【不動産オーナー向け】トラブル事例:「まさか、うちが…」相続で泥沼化!?兄弟編
2026/10/30
「うちは子供は兄弟仲がいいから、遺産分割でもめるはずがない!」
そう思われていたオーナー様ほど、相続発生後に相続トラブルが発生します。
実は、不動産相続のトラブルで最も多いご相談は「生前に仲の良かったご家族」の対立です。
今回は、実際にあった相談事例をもとに「仲良し兄弟が絶縁状態に陥ってしまったのか」
そして「親御さん(オーナー様)は生前何をすべきだったのか」不動産業者の視点で分かりやすくをご紹介します。
登場人物の状況
まず今回のトラブルに直面したご家族の状況です。
・亡くなったお父様(オーナー様)
元サラリーマン。数年前に妻を亡くし、実家で一人暮らしをしていました。
・長男:しゅうじ(45歳/地元在住/独身/会社員)
温厚でお人よし。実家の近くに住んでいて、一人暮らししている父の介護や病院の送迎を嫌な顔せず一人で担当していました。
・次男:あきら(42歳/会社員/妻と中2の息子と小5の娘の4人家族)
兄を慕っており、父親の面倒をみくれている兄に心から感謝している。子供の塾代や学費で家計は限界状態。
残された財産
1 実家(古屋+土地):資産価値は低い。
2 アパート(一棟全10室):満室稼働中で、家賃収入が毎月はいってくる。【メインの資産】
3 現預金:葬儀代や入院費で消え、数百万円程度しか残っていません。
現金はほとんどないため、アパートをこれからどうするか。が遺産分割の争点でした。
四十九日の夜、交わした安心の約束
亡くなった父親は元々普通のサラリーマンでした。退職金と先祖代々の土地を使って「将来、子供たちに苦労をかけないように」「家族の助けになるように」と一念発起して建てたのがこのアパートでした。兄は父親と一緒にいる時間も長かったのでその話を父親から聞いていました。
病室でも父親は兄の手を握り「あのアパートは、お前たち兄弟を助けてくれる資産になる!だから大事に守ってくれ。」と涙ながらに言いました。
四十九日の法要を終えて、久しぶりに兄弟だけで近所の居酒屋へ行きました。
あきら(弟):親父の介護や病院のこと、最後まで全部任せっきりで…ごめん。俺は忙しくて何も手伝えなくて…ごめん。本当に感謝してる。
しゅうじ(兄):お前には嫁も子供もいるし、気にするな。孫の顔を見れて親父は喜んでいたよ。実は親父からアパートは家族を助ける資産になるから守ってくれ!って言われた。だから管理は俺に任せていいから毎月の家賃収入を2人で半分ずつに分けよう。
あきら(弟):俺は何もしていないのに、半分ももらっていいの?正直子供たちの塾の費用や学費で家計は苦しい。だからすごく助かる!ありがとう!兄貴が兄ちゃんで本当によかった。
2人は笑顔でグラスを交わし、兄は揉めることなく円満に解決できた。と胸をなでおろしていました。
深夜の寝室、追い詰められていた弟の家庭
弟は父親の四十九日の法要も終え、久しぶりに兄とお酒を交わし気分も良い、アパートは家賃を折半して、管理は全て兄がしてくれる。子供の学費で悩んでいる妻にいい報告ができると意気揚々と自宅へ帰りました。
しかし妻の反応は想像していた反応ではありませんでした。
これから子供たちにたくさんお金がかかる。これからの入学金、学費だけでも数百万円…
毎月数十万円なんかもらうより、今すぐアパートを売って現金で遺産分割してもらってきてよ!!!
家庭の財布事情は弟の想像以上に厳しかったのです。もともと教育熱心な妻ということもあり
息子の中高一貫校へ通わせる学費と、医学部受験に向けた塾代(年間150万円)
娘の中学受験の塾代と季節講習(月8万円)
マンションの住宅ローン。
弟の妻はまとまったお金が欲しかったのです…妻も意地悪で言ってるわけではなく、子供の進路を守るため後がなく必死でした。
突然兄の元に届いた「内容証明郵便」
妻から責められ続ける弟。しかし今まで兄にすべて丸投げ状態で任せっきりだった。
そんな自分が父親の遺産に対して何も言うことはできない…申し訳なさ過ぎる…
「売却してほしい!」なんて口が裂けても言えません。
毎日妻から責められ続け、兄には何も言えず、弟はノイローゼ寸前まで追い込まれてしまいました。
そんな夫(弟)に行を煮やした妻は、こっそり弁護士の元へ相談にかけこみました。
兄の元に一通の内容証明郵便が届きました。
差出人は見ず知らずの法律事務所の弁護士が書かれています。中身を読むと、そこには冷徹な文章が並んでいました。
「貴殿に対し、被相続人の遺産であるアパートの速やかな換価分割(売却)を求めます」
「なお、今後本件に関するご連絡はすべて当職を通すものとし、当事者同士の直接の接触(電話・訪問・SNSを含む)を固く禁じます」
え?あきら…どういうことや。俺に何の相談もなく弁護士を立てたのか?なんで?
ついこないだ、居酒屋で笑いあっていた兄弟の絆が
たった一通の書類で粉々に砕け散った瞬間でした。
直接話すことを禁じられたこの兄弟は、感情的な対立を深め泥沼の遺産分割調停(裁判所での争い)へと引ずりこまれていきました。
不動産のプロ解説:なぜこの悲劇が起きたのか?
この事例で最も恐ろしいのは「誰一人悪人がいない」という点です。
・兄は親の想いとアパートを守りたかった。
・弟は兄に感謝し、迷惑をかけたくなかった。
・弟の妻は子供の将来と生活を守りたかった。
全員がそれぞれの正義をもって動いていたのにも関わらず、なぜ破綻してしまったのか。
理由は2つあります。
1.不動産は「1円単位で割り切れない資産」
現金ならきれいに半分ずつ分けることができます。しかしアパートは真っ二つに割ることができません。
「持ち続けたい人」「現金にしたい人」が分かれた瞬間、完全に手詰まりになります。
2.「仲の良さ」と「それぞれの家庭の事情や財布事情」は別物
どんなに兄弟同士の仲が良くても、結婚して家庭を持てば、それぞれの背後には「生活費」「教育費」
「配偶者の考え」が存在してしまいます。兄弟だけの信頼関係や仲の良さで乗り切ることは不可能です。
お父様(オーナー)が生前やっておくべくだった2つの予防策
対策①:遺言書で「誰が何を継ぐのか」を指定しておく
今回の事例からいうと、アパートは兄に相続させる。その代わり実家の土地は弟に、足りない分は生命保険金で弟に現金で渡す。と言った遺言書を遺しておくべきでした。
親が法的な指定をしておけば子供同士が遺産分割で話し合って角を立てる必要がなくなります。
対策②:親が元気なうちに「不動産の出口」をプロと相談する
アパートを建てた親御さんの多くは建てた当時の状況のまま思考が止まっています。
今売ったらいくらになるか、将来子供たちでどう分けるべきかを不動産会社や専門家を交えて生前に査定・シュミレーションしておくことが不可欠でした。
『うちの子たちは昔から仲がいいから、相続でもめるはずがない。』
もし今そう思われているなら、少しだけ立ち止まって考えてみてください。
相続トラブルで相談に来られるオーナー様のほとんどがかつては全く同じ言葉をおっしゃっていました。
兄弟を争わせるのは本人の欲だけとは限りません。それぞれが背負っている「家庭の現実」です。
その後
結果的に今回の事例では
最終的に話し合いができず「遺産分割調停」へ。
兄は「売りたくない」弟側は「今すぐ売って現金で分けてほしい」と両者一歩も譲らず、1年以上の月日が経過。
毎月の弁護士費用や裁判所通いとなり兄弟は心身ともにすり減り「もう早く終わらせたい…」と投げやりになっていきました。
裁判所からの勧告もあり、最終的に「アパートを売却して代金を分ける」ことで決着。
しかし揉めている物件であることや売却を急いだことで買い手から相場より大幅に安い価格で買い叩かれてしまいました。
高額な譲渡所得税、仲介手数料、双方の弁護士費用などひかれた結果手元に残った現金は当初の想定していた額の半額以下。
弟の妻の望んでいた「子供の十分な進学資金」にも到底届かない金額でした。
この結末のポイント
大金をめぐって争ったはずなのに、税金や諸費用を引くと想定していた金額にも程遠く、長期にわたる争いに兄弟ともに疲弊し、結局安い金額で買い叩かれ誰も得をしなかったという残酷な結末になってしまいました。
父親が子供達の将来のためと建てたアパートがまさかこんな結果になり、仲の良かった兄弟の絆も引き裂かれるとは誰も予想していませんでした。
この悲劇を防ぐチャンスはお父様が生きていた時にしかありませんでした。
「今すぐアパートを売る予定はない」と言う方でも問題ありません。
将来の子供たちに揉めさせないための選択肢を一緒に整理してみませんか?
今のアパートの適正な市場価格
兄弟で揉めないための分割のシュミレーション
遺言書や家族信託を活用した資産の残し方
不動産のプロとして、ご家族が全員が笑顔でいられる道筋を中立な立場でご提案いたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
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大阪でオーナー様のお手間を軽減
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